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2005年10月29日 (土)

本バトンってか?

出張から帰国しました。今回は短い(6日間)の出張ですが、相変わらずの時差ぼけです。で、長距離出張ではやたら本を読みます。最近本を読む量が減っていましたが、今回のの米国出張でまた纏めて読書しました。

私はあまり繰り返して同じ本を読むことをしない乱読派なのですが、それでもその中の何冊かの本は読み返しています。去年辺りに読んだ読み返し候補も含めて、反芻してみました(要は「私の好きな本・ミュージカルバトン変形」ってことだな)。ちなみにこの文章は飛行機の上で打ったもの。便利になったなあ、を実感します。

①砂のクロニクル(船戸与一)
船戸与一の本はかなり読みましたが、その中でもこの本は彼の傑作だと思っています。彼の著作を通した視点は、「弱者の存在証明」ということでしょうが、この本は世界の中での弱者たちの二重構造(中東であったり当時のソ連内の地方であったり)を照らし出した上でのドラマを描いた作品として、非常に迫力があります。ですから、登場する二人の日本人はあくまで脇役だと考えています。
ただ、この中での日本人二人の出会いは要らなかったんじゃないかなあ。ちょっと情緒に流れた嫌いを感じますなあ。
②チェゲバラ伝(三好徹)
私のゲバラ像はこの本が作っています。まだ「モーターサイクルダイアリー」も見てないしなあ。コスモポリタン的行動者だった彼も、アルゼンチン市民章を持ち続けていたという逸話は、故郷から離れた私にも響くものがあります(あまりのレベルの違いは置いておいて)。無条件に、「おめえ、かっこよすぎるよ」ってもんですね。北斗の拳での「アイン」みたいなものでしょうか←どういう喩えじゃ。
③空白の天気図(柳田邦男)
大学時代はノンフィクションばかり読んでいて、小説と言うものを殆ど読んでいませんでした。丁度大韓航空機撃墜の本が売れていたこともあり、ノンフィクションでの柳田邦男は当時のMust Itemとしてそれなりに読みましたが、この本が一番好きですね。原爆投下後の気象庁の動きを書いた生々しい記録として、「マリコ」と対をなす本かもしれません。
④奇跡の人(真保裕一)
これ、台湾で再放送していたドラマ版をチラッと見てから山崎まさよしを聞き始め、そのあと小説を読んだという変な順番でたどり着いた本です(実はドラマ版の結末は知りません)。掲示板などでは、真保裕一の著作の中での評価は決して高くないようですが、私は好きですねえ。ラストの火事に対する小説の最初との必然性を見つけたときは自分で一人「なるほど」と納得していました。ちなみにこの本を読む前とあとでは、山崎まさよしの「僕はここにいる」という曲の歌詞解釈が全く変わりましたね。
⑤日の名残り(カズオ・イシグロ)
何というか、私がドイツに住んでいたころ良く出張で行ったイギリスの田園風景(陳腐な表現だなあ)が眼前に広がる静かな小説です。前も書きましたが、あんまりエロ付きの恋愛小説は好きじゃないんですね。それならフランス書院の本でも読んどきゃいいわけで(これはこれで有りの世界)、この本は、ものすごいドラマもなく、静かに淡々と心情を描くことに徹して生まれた、届きそうで届かない、でもその届かないことで完結している切ない恋愛小説でしょう。音楽でも小説でも、「切なさ」「哀愁」というものに引かれます。
⑥博士の愛した数式(小川洋子)
今、故郷岡山から売れっ子の小説家が二人出ていて、そのうちの一人が小川洋子です。あと一人は岩井志麻子ですが、まあ同じ年代でこれほど違う手法の人がいるのも面白いですねえ。生まれだけなら重松清もそうですが、彼自身も言っているように「単に出産が岡山だっただけ」らしいので除外。
で、この本ですが、これも静かな小説ですね。そこはかとない切なさと美しさが感じられる小説ですが、大きな意味で愛情小説(なんてのあるかどうかは知らない)ですねえ。今度映画化されるようですが、寺尾聡もいつの間にかはまり役を持つ俳優になっちゃったなあ。ルビーの指輪はどこに行ったんだろう?
⑦Future is wild(イギリスの誰か教授っていうのがわからん)
去年から今年に掛けて、地球進化や動物物の本やDVDをいくつか見ましたが、そのきっかけがこの本です。小学生の頃、「世界怪奇生物全集」のようなものを見たことがある人は結構いると思いますが、その頃の何ともいえないわくわく感がこの本にはあります。空飛ぶ魚や歩くイカなど、「なんでえ、結局将来はイカが地球を支配するんかい」という脱力感と共に楽しめますな。ちなみに、この後NHKの「地球大進化」というDVDを見て、この本の基本コンセプトが良く分かりました。
⑧へんないきもの(誰か忘れたんで帰国して確認したら早川いくお)
ある意味サブカル系ともいえる本かもしれません。この本の勝因(誰が決めたんだ、勝ったって)は、全てが実在の動物であるにもかかわらず、実物の写真ではなくイラストにして「へんないきもの」を紹介したことではないかと思います。これが写真だったらとてもじゃないですが子供は見ることが出来ません。ネットで検索してヤツガクワヒルのお食事写真(ヒルがミミズを食っている)を見ましたが、完全なR指定のかなり香ばしいものでしたね。こういう浮世離れした本は、違った意味で和めますな。
⑨昭和の三傑(堤堯)
今の9条がいかに戦略として出てきたものかを喝破した本です。憲法改正論者も、今までの平和憲法がいかに戦後の日本を守り、発展させてきたかきちんと評価することは忘れないで欲しいと思います。この本の隠し味は、筆者の鳩山嫌いですな。

でもこうやって本を挙げていっているにも、直ぐ「ブックバトン」とかいって出てきたりして。

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