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2006年2月22日 (水)

渋谷のとんかつ(大正期の随筆風)

とにかく私はとんかつを好んでゐる。このハイカラな食事はまことに栄養と価格の均衡が取れたもので、昼食に迷った際は例外なくこの食事を選択することとしてゐる。

今日は渋谷で仕事となり、昼食を取ろうと以前通ってゐた「三裕」を尋ねるも休業の由、本日のことだけか定かではない。それでもとんかつを食ひたいという心は変はらず、以前より気を留めてゐた桜丘の「さくら亭」にその嗜好を切り替えることとした。

もとよりとんかつにもヒレ・ロースの違いから、揚げ方の違いまで千差万別、しっかりと揚げるヒレの名店「蓬莱屋」の系もあれば、非常に低い温度で揚げていたであろうロースの名店である大阪の「ぼんち」の如き白い色に近いものもある。私は高価なとんかつと分類できる店の中では、「ぼんち」に優るものに出会えずに至ってゐる。しかしながらとんかつの本領と問はれれば、矢張り大きな負担の掛からないその金額ということであろう。であるとすれば、壱千円以下のとんかつというのもその裾野の広さを考えると誠に意義深く、また慎重に検討をするに値するジュアンルであろう。

そこで本日の「さくら亭」であるが、職業人へ供される誠に正しい昼食と言えよう。価格は六百円、ロースとんかつは極度に厚くないその分量に対し適度な味付けがなされており、正に一つの典型を示していると見る。一切れを口に運んだときの「サクリ」という歯ごたえの後広がる香ばしい味、当然ながら価格により違うのだが、寧ろこの「さくら亭」が供する水準のとんかつにより香ばしさを感じるのは、私の身の丈にあったということか。以前浅草で食した「リスボン」という食堂のとんかつを起想させる誠に大衆の味である。ユニイクなのはそのごはんであり、やはりハイカラなカレールウを無料にて乗せるという選択も可能になっている。ただ、ソオスが適度に白米の味付けになることを好む大衆にとっては、この選択を諸手を挙げて賛成するとは思えぬが。

これは蛇足になるやもしれぬが、この店の主人と従業員のテレビジョン発言への文句、関係なく聞いている私という客にはなかなか味のあるものであった。

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ちょっと遊んでみましたが、例えば寺田寅彦や内田百閒などはもっと美しく、その場にあるように紹介するんでしょうねえ。この美しさ・エレガントさが「随筆」と「エッセイ」の語感の違いになるかも知れません。それにしてもとんかつ屋の「三裕」、ちゃんと開業しているんでしょうか?ガード下とは思えない美味いとんかつです。

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