« 20歳年下の後輩 | トップページ | Dokkenの謎(1stアルバム) »

2006年9月23日 (土)

「悪の読書術」(福田和也)

先週の出張で読んだ本の中で圧倒的に重かったのは重松清の「幼な子われらにうまれ」なんですが、その感想は別の機会にして、もう一つちょっと面白かったのが、この「悪の読書術」。この人が話題になったのは、「作家の値うち」という本で直接作家の是非を書き募ったこと、柳美里との論争(そういやこの人何処行った?)を起こしたこと、で結構話題になった文芸評論家(っていうんで良いんだろうか?)です。私にとっては著書を読むのは初めてです。

悪の読書術

「悪の読書術」

で、この人が挙げている良い作家が塩野七生や須賀敦子、セカチューやら天国云々といった本を読んでいる人は「恥ずかしい」と一刀両断。んじゃこの前恋愛自由市場主義宣言を読んでいた私はどうするの?

以前ちらっと見たこの人の書評では、船戸与一あたりを無茶苦茶こき下ろしていたんで、やはり美しい文章と言うものがない本は評価しない人なんでしょう。確かに船戸の文章は美文とはいえないですけどね。しかし、この辺は好みが分かれるところで、上に上げた須賀敦子や、他のところでこの本に触れられている高村薫の文章は、私には読みにくいこと甚だしい。途中で投げましたね。

この本を読んでいって、「あれ、この本に似たのなかったっけ?」と思いハタと気づいたのが、「見栄講座」(ホイチョイプロダクション、どうも今は絶版)ですね。この「悪の読書術」は、「知的に見られる」というところを意識しているところで、この本を下敷きにした部分があるんじゃないでしょうかね。そう考えると、「作家の値うち」は最初えらく衝撃的だった「間違いだらけの車選び」(徳大寺有恒)の出版界版そのもの。もしかするとその辺をあざとく狙っているのかも知れません。少し他の著書も読んでいけば分かるかも。

これは想像ですが、何となく平野啓次郎あたりは酷評しているような気がします。何となくなんですが。

さて、見栄張って何読もうか、と考えて、結局次は「海洋危険生物」を読む予定ですね。これで見栄は張れるのか?

海洋危険生物―沖縄の浜辺から

「海洋危険生物」

|

« 20歳年下の後輩 | トップページ | Dokkenの謎(1stアルバム) »

コメント

ドイツ特派員さん、かなりの読書家ですね~。お仕事お忙しそうなのに凄いです。年100冊達成まで後どれくらいでしょうか?達成できると良いですね。

話は少しブログの記事と離れますが、先月に津山の方で重松清さん、あさのあつこさん、阿川佐和子さんの公開トークショーというのがあって、その時のことを山陽新聞の記事で読んだのですが、
[http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2006/09/19/2006091909202833001.html]

重松清さんに少し興味を持ちました。ドイツ特派員さんすでに何冊か読んでらっしゃるようですので、最初の取っ掛かりで読むのになにかお薦めなのがあったら教えてください。

投稿: SINSEI | 2006年10月 7日 (土) 23時46分

Sinseiさん、

私が読んだ重松清の小説は、「見張り塔からずっと」「トワイライト」「半パンデイズ」「ビフォアラン」「ビタミンF」「定年ゴジラ」「幼な子われらに生まれ」「世紀末の隣人」「かかしの夏休み」「セカンドライン―エッセイ百連発」ですね(アマゾンのページで確認しました)。どれも結構重い読後感がでますが、私なら、「かかしの夏休み」ですかね?実は「トワイライト」が好きなんですが、正直かなり救いがないので、初めてだと重すぎるかもしれません。あと、「世紀末の隣人」はルポルタージュです。

それでも、題名だけで内容がある程度思い出せるのはこの作家が良い文章を書いているからだと思います(要は私に合っている)。あと、「見張り塔からずっと」はやはりボブディランから取ったんだと思います。

投稿: ドイツ特派員 | 2006年10月 8日 (日) 20時53分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「悪の読書術」(福田和也):

« 20歳年下の後輩 | トップページ | Dokkenの謎(1stアルバム) »