「密やかな結晶」(小川洋子)
相も変わらず前後の脈略の無いこのブログ、ふと思い立って過去に読んだ本の感想をば。
いや、この小川洋子さん、岡山の同郷ですが、向こうはこっちのことを全く知りません(当然)。というわけではないのですが、やはり「博士の愛した数式」は読みましたし、その他何冊かは読んでいます。でも肝心の「妊娠カレンダー」は読んでいないんだよな。同じ同郷の小説家でもやってることがこれほど違う二人は珍しいぞ、小川洋子と岩井志麻子。
この本、ネタバレがありますから詳細は書きませんが、とにかく幻想的に進みます。どんどん記憶が消される住民、その理由も分からない。そのままずっと物語は進んで....。
この本を読んだ時、何だか昔話を読んだような気分になりました。ご教訓がある訳ではなく、何を言いたいのかも分からない。ただただ、足元をなくした暗闇にぼーっといるような奇妙な浮遊感を感じます。
もしくは、中南米にある幻想小説と言われる分野に近いかもしれません。例えば、バルガス=リョサとかボルヘス、フリオ=コルタサルやガルシア=マルケス等の小説に手法は近いでしょう。ただ、あちらはその裏に、政府に対する抗議や現状に対する抵抗があり、それを別の形で表現しているという事実がありますが、恐らく小川洋子さんはそこまでの思想は無いんじゃないか、と思っています。
別に、「沈黙博物館」という小説も近いものがありますが、ちょっと途中で現実に戻されるところが画竜点睛を欠くというか。
現実からふっと離れたい時は彼女の小説を読むことが多いですね(「もっと現実を見てくれよ、おめえよ!」との叱責多数の中)。
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