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2008年10月 5日 (日)

市井の人からの伝言...「雨の日と月曜日は(上原隆)」

最近、中学生や高校生の頃をよく思い出しています。で、いかにその頃から成長がないかを知り愕然とするわけですが、そんなどうしようもなく未成熟で、平凡で、省みられない人たちの代表として、この上原隆は書を書いているのだと思います。

つまらない嘘をついては赤っ恥をかくという「嘘をつく」、離婚前から付き合っている恋人とのことをあけすけに書いている「ボブディランな午後」、人生の理不尽さとは何かを突きつける「サウダーデ」、親の人生について改めて思う「父の本」など、つまらない人間がつまらないことでもがきながらも生きていることを再認識させる文章がここにあります。その中でも、こんな言葉が私には心に残ります。

「ひとは出自を選べない。人生のスタートは不平等だ。......出発点から、どれだけ自分の生活を向上させたかという尺度によって人生を測るのなら、(私の)父の人生はかなりいい線いっていると思う。それに何より、家族をつくり、子供たちを育て上げたことは偉大な事業だ....」

以前、「友がみな、我よりえらく見える日は」を読んだ時、「他人の不幸集みたいだな」と思ったことがあったのですが、この本は徹底して自分のことを書いていて、自分が経験する情けなさ、恐怖、恥ずかしさをさらけ出しているのがいい。

今、世の中はビジネスが人間のど真ん中を占拠していて、ビジネスのために人生を使い、ビジネスの成否がその人間の成否のようになっていると思っています。が、とにかく単純に生きていくことがどれほど大切か、とにかくその日その日をしのぐことになっても、それは尊いことなんだということが伝わってくる本です。

私が本を読むのは、そこに少しでも心に傷を残してくれる言葉を捜しているからかも知れません。それが少しでもあればその読書は成功、だと。

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