ネットという武器
昨日告白した転職について、実はこの数年ずっと考えていたことでした。10年位ですか、「もう会社辞めてやる!」と「もうちょっと頑張るか...」の波が寄せたり引いたりしていましたが、実はここに来て決めたのには、この数年での人間関係の変化が大きいんですね。
これは玄田有史氏がその著作(確か「仕事のなかの曖昧な不安」)で言っていたことなんですが、実は人生の中で役に立つネットワークというのは、「ストロングタイ」と表現できるかなり強固な関係ではなく、「ウィークタイ」とでも言える緩やかな関係だということをかなり感じています。例えば、上司と部下なんていうのは「ストロングタイ」なんですが、例えば会社を辞めても付き合っている連中との関係というのは「ウィークタイ」となる。「ウィークタイ」というのは単純に「弱い結びつき」ということではなく、それが切れていないことが大事で、たまに会うが故のお互いの立ち位置の確認であったり、客観性の担保であったり、ということが起こるわけです。
で、自分の人間関係でこの「ウィークタイ」と表現される関係がこの数年で飛躍的に増えたんですわ。もしかすると年齢的なこともあるかもしれませんが、このブログなども非常に有効な手法なんだと思います。
人間、どこかで誰かと繋がっているというのはとても大きな安心感をもたらすんだな、というのがこの関係が増えたことで感じたことですし、自分が何に恵まれているのか、何が足りないのかということが以前より少し見えた気がします。これは理論的に説明は出来ないあくまで感覚的なことなんですがね。
考えてみれば当たり前な話なんですが、毎日顔を合わせている人と話したところで、客観性をそこから導くことは出来ないんですね。で、会社員というのはこの「ストロングタイ」だらけになる危険が多いし、以前は正にその状態だったと思います。
今回の決定に関して言えば、「だから転職」と「だから在職」というのは別に優劣はありませんね。結局判断は自分でするしかないですし、成功失敗はまあ棺桶に入るころに分かることなんでしょう。
この点で誤解があるといけないんですが、別にこれは「相談相手」ということではないんです。あくまで自分の立ち位置だったり思考だったりをしっかりさせるための支えみたいなものですね。また、それは仕事だけではなく、私的なこともやはり自分の立ち位置の確認が出来るものなんですな(それが正しいかどうかは別にして)。
そこで、
このような関係が出来る・作るためには、インターネットが非常に強力な武器だと改めて思います。特に私としては、この小さなブログを作ったことは色々な転機になりました。その他でできた関係は必ずしもネット経由ではないんですが、それでもネットでの付き合いが積極的に出来たから作ることができた、というところも非常に大きいです。
といいながら、何が起こるかはこれからです。
で、カタールってなんですか?寝て起きたら勝ってるんですよね。
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コメント
こんにちは。
ずいぶん思い切りましたね。でも、正直言って、うらやましい限りです。私も会社の中での立ち位置に悩むこと、かれこれ10年ぐらいはたちますし。
私の中ではそういう熱い部分を持っていた人生の時期は過ぎたかなあ、という感じかなあ。仕事だけでなく、いろんなことがうまく行ってませんしね。
それに、ドイツ特派員さんの会社って、普通の人なら誰でも知ってる超一流のところですよね。そこからヘッドハントされるって…。
記事ですが、何となくおっしゃること分かります。私がどんなに努力していても、疲れていても、会社の一番身近にいる上司は何にも分かっていない(見ていない)な、と感じる時あります。
その一方で、普段はライバル関係にある同業他社とか、仕事先とかが意外に見てくれていて、ふとかけてくれるひと言とか態度でやる気を回復すること、ありますね。つい最近もありました。
投稿: しまうま | 2008年11月20日 (木) 11時29分
しまうまさん、
ま、暴挙との声も多数ありますまずはスタートに立った、と言うだけですから、これからが本当の勝負です。
上司はある意味一番私を買ってくれていました。であるからかも知れませんが、「外に出たほうが君には向いているよ」と言ってました。その後実際に退職、という段になっておろおろしていてそれはそれで何だかなあ、という気がしますが。
ヘッドハントではないんですね、この転職は。確かに数回ヘッドハンターから電話があったのは事実ですが、それには乗りませんでした。どちらにしても、この年ですから、最後のチャンスです。
やはりお互い立ち位置に悩みながらロックギターを聴く今日この頃ですなあ。
投稿: ドイツ特派員 | 2008年11月22日 (土) 21時44分