凄い言葉
以前、理由付けってどうよ?という記事を上げました。そのあと、このことに絡んで凄い言葉を見つけてしまいました。
「理屈という踏み台を、本能という脚力で蹴飛ばすことが出来る者のみが、独創的な啓示が得られる」(大意・By 開高健)
とは言っても開高健の本を読んでいたわけではなく、手嶋龍一の「ライオンと蜘蛛の巣」というエッセイの中に紹介されていた一節。これは、別に色々な理屈を否定しているわけじゃないでしょう。何かことを為す時、色々と準備した上で、最後は覚悟を決めてやるしかないでしょ?ということが言いたいのだと思います。
私の過去のエントリーを見ると誤解されそうなんですが、実は物凄く小心者だし、実は理屈がちゃんとしていないとどうしても動けない性質なんですね。一連の流れのどこかに抜けや納得できないところがあると居心地が悪いので、いつまで経っても蹴り出せない。ところが、前に出る表現が違うもんだから、「楽天家だよね」「何も考えてないでしょ」「結局いいや、って進めちゃうし」「いいね、悩まなくて」という評価になることが多いんですなあ。
ち、違うお!
実は同じような言葉を以前聞いたことがありました(今思い出した)。信越化学の金川社長かな、木村剛の本の中で、彼が金川社長に聞いて、
「御社はかなり成功していますが、成功する事業を選択する秘訣は?」
「あー、そんなことにルールは無いですね。強いて言えば『勘』でしかない」
と返され、木村剛が、「彼ほどの成功者に『勘』といわれてしまうと見も蓋もない」というような趣旨の文章がありました。ですが、これもかなり誤解されそうな内容だと思うんですよ。実際にはその「勘」に至るまで、相当に頭から油を絞るようなプロセスがあったはずなんです。それで、「もうここまで考えたのであれば後は勘だよな」というところまで追い込んでの「勘」という言葉への到達なんですね。木村剛は充分分かっているとは思いますがね。
その意味で言えば、先日読んだ山崎元の本の後書きに、
「事を起こすときには、結果ではなくそこに至る準備のプロセスの部分に全力投球する」
という趣旨のことを書いていましたが、正にそこだと思うんです。結果というのは運でしかないわけで、それを達成するためにどれだけの行動を取ったか、がその後を大きく変えるんでしょう。
しっかし、こんな言葉だけ覚えているのは記憶力が良いということなのか?必要なことが入らない単にメモリーの問題か?
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コメント
こんばんは^^
わたしの大好きなジェフ・ポーカロが、
スタジオで仕事をする時にどういうことに気をつけたらいいかという質問の答えで、
「まずデモ・テープをよく聴いて曲を憶える。難しい部分は予め練習しておくのも大事だ。
でも、本番では自分を信じて思い切ってバーンと叩くしかないんだよ」
というようなことを言っていました。
ジェフは本能的なプレイをする人でしたが、
それはそれだけの経験を積んで、練習を積み重ねてきたから出来ることだと思うんです。
この記事を読んでその話を思い出したので、ちょこっと書き込ませて戴きました^^ゞ
こういう実生活の役に立たないことって、なぜかよく憶えてるんですよね(爆)
投稿: こでまり | 2009年2月 2日 (月) 19時26分
こでまりさん、
そうか、ジェフポーカロのような凄腕でさえ、そんな部分を持っているんですね。当然といえば当然でしょうが、最後のバーン!というのも、それまでの積み重ねがあるからで、それが無いのであれば只のおバカになってしまうんでしょう。
自分の持つ何かについて、何時になったらそんな境地に達することができるのか、それだけで悩んでしまいます、ギターは下手だし(涙)。
投稿: ドイツ特派員 | 2009年2月 2日 (月) 20時18分