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2009年7月 4日 (土)

IT BITES ライブ:帰還と再出航

人間、生きていると良いことはあります....。

あれは20年前、渋谷クアトロで見たIt Bitesライブ。私の人生最高のライブは今に至るまで1983年のNight Rangerで動かないんですが、それでも、敬愛するIt Bitesのライブとして、少なくとも五指には入るライブでした。

その後、解散→夫々ソロ活動ということで、フランシスダナリーはもう別の音楽やってるし、もう一人の核であるジョンベックはセッションだし別のバンドだしなあ....。と思っていたら、

It Bites復活オリジナルアルバム

となり、聴くと問題なし!という、まさかの奇跡。んでもって、さらにまさかの一夜限りの来日公演…。もう万難を排して年休まで取って行ってきましたですよ、渋谷O-East。やはりBitesファンのりでぃあさんとご一緒。感想は、

もう良すぎて....

でございます。もう一曲一曲の解説は、私の駄文よりもIt Bites同志(と勝手に言います)のSorapapaさん解説を見てもらった方がいいので、私は全体から感想を。

まずジョンミッチェル。断言しますが、彼が今のIt Bitesでのフロントマンです。あんた偉い!フロントマンの交代で、音楽性も維持したままこれだけ良い音楽、ファンの納得できる音楽を出せるバンドってなかったと思います。それこそ遠い昔のDeep Purpleくらいじゃないかな(フロントマンはリッチーだろ?という疑問はおいといて)?今回ライブを見て、フランシス在籍時よりも、ロックバンドとしての纏まりはむしろ強く良くなってるんじゃないかと思います。彼のVoやGも、確かにフランシスには似ているところはあるものの、もっと男っぽいところが強いので、その点が良く出たのかも知れません。大体、あんなシーケンスフレーズ弾きながらとか、一瞬ユニゾンチョーキング入れながらとかでVo取れるってお前おかしいぞ(という褒め言葉です)。

続いて曲。今回の「The tall Ship」の完成度からは分かっていましたが、過去の曲と一緒にやっても何ら違和感がない。曲調・レベル両方で全く連続性が切れない。これって凄いことだと思います。じゃあマンネリか?と言われるとそれも違っていて、一枚目から四枚目まで、夫々で個性もあるんですね。はっきり言って捨て曲は全く無いですから、どれをやってもだれることがない。個人的に言えば「あんだけ両手タッピングできるんなら『Rose Marie』やってよ!」とか、「ラスト前は『You'll never go to heaven』だろう!」とか、「やっぱり『Still to young to remember』は外せないはず」とか「泣きなら『For safekeeping』だろ?」とかありますが、これは仕方ない。それやったら全曲再現、ミニアルバムまで入れたら今もライブハウスで聴いているかも(笑)。

で、演奏は、もう細かなことはどうでもいいです。それにしてもボブダルトンのDr、上手いなあ(ちょっと走るところがあったけど)。ジョンベックは種々操作に忙しすぎですが、老けた分、以前なかったロックな雰囲気が逆に出てて好印象。サポートのネンザンキングは堅実ですが、少し以前のディックノーランの感じもあり、バランスはサポート的な感じは余り受けないですね。コーラスワークの肝も素晴らしい。

あともう一つの特筆、それはオーディエンス。普通こういう再結成の時って、新曲と昔の曲で反応に落差があるじゃないですか。ところが昨日は、はっきり言ってその落差が全然なかった。これは新曲の良さが大だとしても、オーディエンスのIt Bitesに対する姿勢なんだと思います。ジョンミッチェルは特に自分が作ったアルバムを受け入れているのが分かった分、嬉しかったに違いない。「Great Disesters」なんて最初と次のコーラスの違いまでオーディエンスやっちゃうんだから。そういうオーディエンスの反応がまたステージ側へのフィードバックになって、良いライブになったんですね。

アンコール最後、「Calling all the Heroes」(ちなみにこれもライブでの特別構成というのがオーディエンスは分かっていた!)から、「It's been a good day…」と入り、その後ジョンベックのオルゴール音....。私は本当に涙腺が緩みました。そう、あの名曲「Once Around the World」の最後。私が勝手に「20世紀音楽遺産」に選定している曲、そのラストにつなげる20年前と同じ構成。いつもこのラストに鳥肌を立て続けてもう20年以上、今回は本当に涙腺にも来てしまいました。ちなみにこの鳥肌って奴、比喩でも何でもなくて、いつもこのラストは全身総毛立つんですよ。何か凄い技があるわけでもないのに、何でこんなに心が揺さぶられるんだろう.....。

昨日のオーディエンスは恐らくフランシス不在を強くは気にしない人たちだったと思いますが、もし「やっぱフランシスが居ないとなあ…」と思って聴いていない人がいるんなら、マジに少し考え方を変えて今のIt Bitesを体験した方がいい。少なくとも「The Tall Ship」は、「彼らにしては…」ではなく、「彼らならでは・・・」のアルバムになっているし、その核はジョンベックであるにしても、再現性はジョンミッチェルが握っているわけです。

ほんと、素晴らしい音楽とライブだったと思います。

おまけ)
ちなみにこのジョンミッチェル、個人的には浦和のポンテに似てると思っています。
Ponte_r


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コメント

ドイツ特派員さん
昨日はホントに素晴らしかったっす。
おっしゃる通り会場の一体感たるやもうねえ。
頭から大合唱かと期待してましたが、まったくもってオーディエンスの盛り上がりとバンドがケミストリー生み出してましたねえ!
2ndアンコールがあれば、「スクリーミング~」で壮絶な大合唱だったろうなあなんて(笑)
あのパワー、勢いだと間違いなく新作作りますね、彼ら。ジョン・ミッチェルに今更ながら大感謝ですね(笑)
あ、それと連絡先ありがとうございます。
近いうちにご連絡させていただこうかななんて考えておりますので、今後ともヨロシクです!

投稿: sorapapa | 2009年7月 4日 (土) 14時17分

Sorapapaさん、

いや本当に。こういうコンサートはライブハウスの醍醐味かもしれません。あー、確かに二回目アンコールなら「You'll Never go to Heaven」~「Screamin' on the beach」の流れでしょうね。

さて、It Bites推進協議会をりでぃあさんと立ち上げている私、Sorapapaさんにもやってもらいましょう(笑)。

投稿: ドイツ特派員 | 2009年7月 4日 (土) 18時06分

遅ればせながら、先日はありがとうございました
ほんと〜に素敵なライブでしたね。
今思い出しても、じ〜んと心があたたかくなります。
ただただ幸せなひとときでした
さて、推進協議会、どうしましょう?

投稿: りでぃあ | 2009年7月 5日 (日) 23時48分

りでぃあさん、

本当に幸せな空間でしたよね。成熟したIt Bitesでしたし、そりゃアラを探せばあるんでしょうが、私はひたすら楽しんで、最後に感動させてくれて...。音楽の力を感じた日でした。

さて、推進委員会、まずはりでぃあさんにコンサート評を書いてもらうということで(え、プレッシャー?)。

投稿: ドイツ特派員 | 2009年7月 6日 (月) 00時30分

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