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2009年7月26日 (日)

ちょっとヘンじゃないの?(NHK「日の丸半導体は生き残れるのか」)

最近、録画でテレビを見ることが多くなりました。ライブで見るのは土日のJリーグと朝と夜のニュースくらいかな?CMの時間がスキップできるだけ時間が節約できますしね。

で、昨日NHKの「追跡A to Z」という番組でやっていたのがこれ。

日の丸半導体は生き残れるか?

日本に唯一残っているDRAM専業メーカー・エルピーダメモリがガタガタになった現状をどう突破しようとしているか、というドキュメント。エルピーダについては、日立とNECの統合時代からNHKはずっと追いかけている対象で、私の知っている人もちらっと出たりしてたんで、今回も楽しみだったんですが....。

ちょっとミスリード酷すぎません、ねえ、ちゅーざいさん

んじゃあ何がミスリードなの?というところについて、勝手な俺様目線で書かせてもらいます。ちなみにこのエルピーダメモリーの坂本社長って人、体育大学を出て、倉庫番をやっていたら「あの倉庫番、やたら数字の記憶が良いな」ということで引き上げられて、外資系の半導体会社なんかを渡り歩いて今の社長になっている、ある意味とても特異な経歴の人です。

1.「日の丸半導体」って?

確かにDRAMは既に日本では一社になっています。かつては東芝・NEC・日立・三菱・沖といった殆どの電機大手が作っていて、沖は停止・東芝はMicronへ売却・NEC/日立/三菱がElpidaに、というのが流れです、DRAMについては。
しかしながら、マイコン・LSIといったいわゆるロジック系(CPUは省く)については、東芝・ソニー・松下・ルネサス(日立と三菱のロジック連合)・NEC・ローム・ヤマハなどなどまだ日本で作っているところはかなりあります。また、同じメモリー系でもフラッシュメモリーについては、東芝はNANDという奴で世界で二番手につけているはず。
これだけ有りながら何故エルピーダだけを「日の丸半導体」というのか?しかも今までエルピーダを国策としてどうにかしようとはしていなかったと思います(このことの是非は別として)。エルピーダについては、あくまで「DRAMとして国内唯一の会社」という以外の意味はないと思っています。公的資金を入れた後は少し様子は変わるでしょうが。

2.エルピーダは本当にリーマンショックから苦境に入ったのか?
「彼らは高級DRAMに特化したが、それがリーマンショック以降売れなくなったため、業績が急速に悪化した」とあります。しかし、既にその前からエルピーダの業績は悪化していたのが実情です。参考はこのシート。
001l









これを見れば既に2007年後半(3Qは10-12月)から赤字になっているわけです(この後、2008年も赤字、。正直2007年後半はまだかなり全体の消費は良かったわけですから、これでこの状態だとしんどいですね。一つはVista市場の見誤りはあるでしょうね。多分VistaでPC買い替え→キャッシュDRAMの増量(今や4GBないとまともに動かない)を見込んだ部分はあるんでしょうが、あまりのVistaの伸び悩み→市場のだぶつき→価格下落→相対的な高コストのエルピーダ直撃という流れは大きかったんじゃないでしょうか。だから、リーマンショックを起点にしてこの日本と台湾の統合を考えると、少し違うんじゃないかと思うわけです。
                                                        3.「台湾が欲しがる技術」は本当に何なのか?
番組中、「台湾は日本企業が持っている微細化技術が欲しい」という説明をしていましたが、これもミスリードの可能性が高いと思います。多分本当に欲しいのは、微細化技術の一つになる銅配線技術、だと思いますね(単純な微細化は既に台湾が先行しているわけで…)。ただ、ここで分からないのは、既にエルピーダは台湾の会社(具体的にはRexchipやPowerchip)に技術のかなりな部分を出しているわけで、今更更に出さなければならない技術というのが何なのか?が良く分からない。寧ろ特許なのかな?とも勘ぐっていますが…。

4.本当に「低価格競争で負けた」のか?
やはり番組中、「日本は高品質の高価格製品が売れず、低品質の低価格製品は台湾・韓国にやられている」という説明をしていましたが、何かそれも違う。実際は、「そこそこ以上の品質での製品を日本より低価格で作れるようになった」というのが実体でしょう。確かに人件費の問題はありますが、正直技術的な部分でも(特にDRAMは)台湾は遜色ないところまで来ているんじゃないかな?

5.最後の結びは何なんだ?
で、最後に日本の半導体が取るべき道として、NHKが纏めたのが「両面作戦」。何じゃ?と思ったら、「高品質の製品と低価格の製品を両方追い求めるべきだ」というもの。
はああああ?
そりゃそうでしょうよ。問題はそれが出来ないからどうするか?をやっているわけで、それなら「デパートの売上回復案は、低価格製品と高級製品を両方品揃えすること」とか、「車が売れないなら高級市場と新興国への低価格戦術を両方持つこと」とか、何とでも言えるわけで。
そうじゃなくて、もし両方追い求めるのであれば、「低価格品は持つが、その技術まで低コストで生産できるところに移管する。高品質品は技術・設計は渡さず、生産のみを移管する」というような意見であったり、「いや、もう両方は無理だから、低価格品はどこかに売り払い、その金で高級製品の開発をするべきだ」という意見などであるべきでしょう(これらが正しいとは言わないですが)。

などと勝手なことを言っていますが、恐らくまだまだ言えないことが山積なんでしょうね。今まで関わった業界なんでちょっと注意して見ておきたいと思ってます。

その他、ちょっと気になったのが二つ。
①台湾で日本の経済産業省からの役人が来たとき、挨拶もしないんですね、連中は。ちょっと失礼じゃないですか?
②坂本社長、何か現場と上手くかみ合っていないように見えます。

しかし、真面目な文章を書くと疲れるなあ…。

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コメント

本日はおつかれさまでした。ダイエット中なのでしたか!スイーツ頼んでしまい申し訳なし。
きっとメタルに染められているって想像してたのですが、どうしてどうしてまじめなブログですね。今後ともよろしくです。

投稿: Mikey | 2009年7月27日 (月) 21時32分

Mikeyさん、反応早すぎ(笑)。

という駄文ブログですが宜しくお願いします。スイーツはどんな時もOKです。

投稿: ドイツ特派員 | 2009年7月27日 (月) 23時47分

PC関連事業って成熟産業から衰退に入る時期が早すぎるので、開発~コスト競争~寿命までに収益も上がらないどころかコスト回収も難しいっていう状況みたいで、なかなか辛いでしょうねぇ。エルピーダも出てきた時はものすごい脚光だったけど、結局こうなるか・・・って。
単一商品メーカーでは限界あるんかねぇ・・・。ってもインテルなんかはそれで生きてる?からどうなんだろ?いや、こういうの嫌いじゃないんだけど、落とし所が見えないんで困る(笑)。
やっぱり小銭が毎日降ってくる継続的ビジネスモデルが美味しいよなぁ・・・。

などと真面目にほざいてみたり♪

だから、スカッ!とメタルだ!!

投稿: フレ | 2009年7月29日 (水) 19時21分

フレさん、

半導体の場合、何しろ投資が半端じゃないし、儲かる時にはウハウハ、一度落伍するとどうしようもないんで自転車操業ですね。ただ、現在の上位三社(Intel/Samsung/TSMC)というのはやはりキャッシュリッチなんですね。

...て、ここに反応しましたか!私のAsia好きよりもっと意外です(失礼ですかね?)。

投稿: ドイツ特派員 | 2009年7月29日 (水) 21時16分

> 3.「台湾が欲しがる技術」は本当に何なのか?

エルピーダは、銅配線(Cu)/低誘電率膜(Low-k)の技術を台湾UMCから導入しています。

ttp://edrllc.jp/mtb/0710/187.html
> UMCはエルピーダへ先端DRAMの生産に必要なCu/Low-k技術のライセンスを供与し、エルピーダはUMCのDRAM混載システム・オン・チップ(SoC)に必要なDRAMのライセンスをする。

台湾が欲しがっているものの第一は、エルピーダのブランドと販路でしょう。エルピーダはHPやDELLへの販路を持っていますが、台湾は安定した販路を持てずにいるようです。
第二にエルピーダの設計能力。台湾はエルピーダ・キマンダ・マイクロン・ハイニックスの設計をライセンス取得して、量産技術のみを磨いてきました。ライセンス料金を払う側から貰う側へのステップアップを狙っていると思います。

投稿: cplusplus_magic | 2009年7月31日 (金) 20時03分

cplusplus_magicさん、

ご指摘有難うございます。UMCの件を失念していました。確か坂本社長のUMC繋がりだった筈ですね。それにしても元NEC/日立なのに「やっぱりDRAM専業だとCu技術は立ち遅れるんだな」と当時思った記憶があります。

台湾の場合ファウンドリーで来ているから、安定した販路がないというのは納得ですね。TSMCくらいのブランドがあれば別でしょうが...。設計についてはそういう流れになるのでしょうね。ただ、エルピーダは開発が弱いのかな?と思っていまして、他社と違ってR&D専用ラインを持っていないように思っています。

またご指摘あればご教示下さい。

投稿: ドイツ特派員 | 2009年8月 1日 (土) 11時43分

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