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2009年9月20日 (日)

額に汗する仕事というのは何だ?(追加あり)

よくテレビで分かったような評論家連中が言われる話で、「額に汗する仕事ではなくて、金を右から左へ流すだけで考えられない利益を得るのはどうなのか?」というのがあります。

じゃあ、「額に汗する仕事」って何ですかね?

個人的には、正直金だけ転がしていると思われる仕事は好きじゃない。好きじゃないですが、じゃあそういうヘッジファンドやら金融関係以外の人がどうなの?と言われると疑問。

例えば、私は製造業関係にずっと従事していますが、実際に工場でモノを作るということは全然やっていないわけです。そういう意味では金融関係の人とそんなに仕事振りが変わるわけじゃない。デスクワークだし、モノを持って顧客に行くわけでもない。「お前は額に汗して仕事しているのか?」と問われれば、普通の意味では「そうじゃないですね、へへへ」と言わざるを得ない。

評論家が「額に汗する仕事」と言ったときに、例えば農業や現場工事などという肉体労働を想像しているんだと思いますが、そんなに単純なことではない。じゃあみんなそういう労働をすれば良いのか?誰が?何時?何処で?という話が出てこない。出てくるわけも無いですね、思ったことを口に出しているだけですから。

実際に金融機関の人は非常に長時間労働だし、顧客の情報保護のために家への持ち帰り仕事も厳しく制限されていると聞きます。多分アメリカ人でもそんなに変わらないんじゃないかな?正直私は金融なんぞに行ってヘロヘロになりたくはないし、それ以前に面白くなさそうだし。コンサルタントでも同じでしょう。時給にすればマクドナルド以下、と言う話を聞いたことがありますが、何じゃそりゃ?ということですなあ(長くて苦労しているから、というのはまた別の話で)。

少なくともホワイトカラーと言われる人たちは肉体労働はしていない。いないですが、「頭に汗して働いている」ということは認めなきゃ。

問題は、特にアメリカの金融関係で、自分の利益を大きくするために取引を大きくしていくという「出発点の違い」なんじゃ無いですかね。アメリカの弁護士もそうですが、「事業の利益」に連動した「個人の利益」の均衡が狂っているところだと思います。

日曜にたまたま見たテレビで出た発言ですが、ちと反応してしまいました。

(ここから追加)

少し誤解があると嫌なので追加しますが、私は「デスクワークの人だって頑張っているんだから、それが素晴らしいんだ」と何かと比較して言いたいわけじゃないです。評論家が今行なっている物言いで、業種間の無用な対立を招くのは悲しい。自分の親戚周りはそれこそ職人や商店主ばかりで、寧ろサラリーマンが殆ど居ません。正直そういう人たちを見て自分を見ると、確かに本当の技術を持っているのか?という反省しきりになります。それでも、みんなあぶく銭もなく一生懸命であることは変わりないんだと思います。

正直なことでいえば一番「額に汗して」いない連中は、地盤だけ引き継いだ二世・三世政治家でしょう。それを選んでいるのも我々国民であるわけですが....。

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コメント

> よくテレビで分かったような評論家連中が言われる話で、「額に汗する仕事ではなくて、金を右から左へ流すだけで考えられない利益を得るのはどうなのか?」というのがあります。

私もとっても違和感を感じています。

じゃ、評論家のいう、汗水たらす仕事って農業とかですよね。

平成18年度の民間給与実態統計調査
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2006/menu/pdf/1.pdf

これ見て、農業や鉱業に就こうと思う人、どれだけいるんですかね?
圧倒的な、低収入じゃないですか?
農業従事者の中には、社会保険入れない人もいます。
しかも、農業だから、休みもないし。

評論家は、これやりなさいというのでしょうか?

自助努力が足りないというのもわかりますが、自助努力を超えた価格競争があるわけで、その結果が、この顛末です。
それが、食料自給率40%という、我が国の現実じゃないかなと思うわけです。

日本で1次産業をやろうとしたら、年収に見合った金額で買い上げするか、もしくは、補助金ださない限り難しいと思います。

これだったら、生活保護のほうがいいやって思う人多いと思います。

私は、儲けられる人は儲けた分、多少なりとも社会に還元してくれれば、いいんじゃないかなと思います。

そうするためには、日本全体に色々な産業が必要なんじゃないかなと思っています。
その中のひとつに、金融業があっても、いいんじゃないかなと。

> 問題は、特にアメリカの金融関係で、自分の利益を大きくするために取引を大きくしていくという「出発点の違い」なんじゃ無いですかね。アメリカの弁護士もそうですが、「事業の利益」に連動した「個人の利益」の均衡が狂っているところだと思います

まさにおっしゃるとおりだと思います!

投稿: デレク | 2009年9月20日 (日) 13時09分

デレクさん、熱のあるコメント有難うございます!こっちをそのまま記事にした方がいいかも知れません(汗)。

そうなんですよ、大体にして評論している連中がどの程度「額に汗した」仕事をしてるんだ?というのがありますね。私、オヤジが大工でして、高校時代は家庭内労働力として夏休みの現場に駆り出されていましたから、少なくとも何も知らない連中よりは、天気によるセメントの配合を換えた捏ね方や屋根への釘の打ち方なんぞはやっているつもりです。夏のクソ暑い時のセメント作業はそりゃ大変ですよ。ホントにそういうことが分かって言ってるのか、甚だ疑問です。

少し前の村上ファンドやライブドアの事件がこういう論評の出発だと思いますが、何か善悪より好き嫌いから判断しているんですね。私もそりゃあの石坂浩二と萩本欽一を足して二で割った村上氏は好きじゃない。ですが、あくまで行なった行為の法的な問題のみで裁かれるべきであり、それ以外の所で罰しようとするのが嫌なんです。

確か田原総一郎だったか、「堕落した世の中は嫌だが、堕落する自由すら許さない世の中はもっと嫌だ」といっていましたが、今は空気で罰するという嫌な感じが強いですね。

投稿: ドイツ特派員 | 2009年9月20日 (日) 21時23分

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