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2009年12月17日 (木)

「ドラッカーの遺言」を読んで

先日ブックオフをうろついていたら、ドラッカー先生のこの本を見つけて速攻購入。


量があまりに少なくて、読むだけなら立ち読みで充分ですね。詩集みたいな感じです。

どうも口述起こしのものらしく、特に日本と日本人へのメッセージが多いですね。まあ日本人がインタビューしているらしいですから当たり前ですが。

中味については、本当にすぐ読めるものだし、内容も今までとはそれほど変わったものは多くはありません。ただ、日本に関する言葉で、幾つか面白いなと思ったのはこんな言葉です。

1.今まで日本というのは、日本語という高い壁に守られてきた
2.その高い壁で守られた分、これからは外への動きが難しくなる
3.今(2005年)日本は難しい段階にあるが、それは危機ではなく変化にあるからだ
4.日本はアジアにある中で、非アジア文化を創っている
5.日本と中国の相違は、日本と欧州の相違よりはるかに大きい

実はこの辺りを読んでいて少し既視感があったんです。で、何かなあと思っていたら、梅棹忠夫氏の主張に似ているんじゃないか、ということに思い当たりました。彼は以前から、「日本をアジアだと考えてはいけない。寧ろ欧州に近い文化と社会を持っており、浅い考えでアジアの一員ということを進めるとおかしなことになる」と言っていました。日本語については、日本語の難しさを解消するためのローマ字運動を先頭切って行なっていたため、一部では評価が低いところがあります。ただ、安易なローマ字運動を批判していた鈴木孝夫氏も、梅棹氏の思想には一定の評価をしているように、文化人類学の泰斗としての思想の深さはいうまでもないし、まさにこの「日本語の壁」を意識していたからこそのローマ字運動だったと思います。もし梅棹氏とドラッカー先生が対談していたら、面白い事になったんじゃないでしょうか?

ドラッカーはどちらかと言うと思想家の雰囲気が強いと思っていて、「これですぐ儲かる」的な話はないですね。ただ、名言集などは「これほど簡潔に言えるのか!」と思うほどの説得力があります。その簡単さに流されるといつまで経っても身につかないんですがね(俺か)。

彼が説いている別の要諦は、「ビジネスの機能と人の優劣は関係がない」ということだと理解しています。例えば、マネジメントという仕事はあくまで「ビジネスの流れとして」人の上に立っているだけだ、ということであり、そこに別の要素、例えば権力などが入るのは間違いである、ということを強調しているんですね。別の言い方では、

カリスマというのは唾棄すべき存在である

と言っています。

実は、彼は官僚制度をある程度擁護したことで、少し評価を落としているところがあります。また、アメリカでは株主資本主義を批判していることもあり、かなり忘れられているところがあります。が、もう一度見直すことは無駄ではないか、と思います。

というか、ちゃんとしたことを書けているかなあ?

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コメント

ドラッカーは結構読みました。でも割と心に残ってないのはなぜでしょう。ビジネス書ではミスミの三枝さんの本の方が心に残ってます。この辺も文化の違い?っていうか日本ならではの事情が織り込まれているかどうかなのではないでしょうか。

投稿: Mikey | 2009年12月19日 (土) 10時09分

Mikeyさん、

ドラッカーの本は入りやすい分出て行きやすいのかも知れません。平易な言葉だし、すぐ分かった気になっちゃうんですね、私の場合は。

手元において見直すのがよいのかもしれません。

投稿: ドイツ特派員 | 2009年12月19日 (土) 12時43分

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