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2010年2月 6日 (土)

「『知の衰退』からいかに脱出するか?」:ユニークではないユニークさ

だってさ、バカはバカなりに考えてるんだよおおお…。

ということで、こんな本を読みますた。

この本で、「考えない日本人」「一方向にどっと行く勝ち組思考日本人」を批判し、横並びな思考からの脱却を色々と提案しています。また、以前ベストセラーになった「国家の品格」を、「思考停止の勧めとしか思えない」とこき下ろし、内向きの日本人へ警鐘を鳴らしています。

私自身、上記の藤原正彦への批判・「宰相の水準が国民の水準となっている日本」など、本当に同意出来る所が多々あります。また、今の日本に対してイライラしているところも良く分かる。また、「経済が無くて国民の幸福だけ出すなどという事は今の日本では無理」というのも納得できる。ブータンで話題になるGNHという指標も、さすがに今の日本でそのままその部分だけを取り出すには大きくなりすぎている。それから、情報の整理については、私がいつも思っている「Figure→Data→Information→Intelligence」という流れを言っているわけで、正にその通り。

ただこの本、何か腑に落ちない。何か違う。

珍しく私が二回目を通した時、少しだけその「腑の落ちなさ」が見えました。

彼は、最初のところで、「そうだ、僕はユニークな生き方をしよう!!」と書いています。横並び日本人についての苛立ちからは(それは私にもある)、良く分かる事です。ですが、その後彼が提示している生き方が、全然ユニークに見えないんですね。「インターネットを活用して空いた時間を思索に充てる」「他人から必要な事だけ学ぶ」「教養は今何が新しく起きているか知ることだ」....。その通りなんですが、正直な感想は、

それって勝ち組の後追いじゃねえの?

ということ。「世界のエグゼクティブはこうしている、だからこうしよう」という流れ。もう涙なしには読めないのは、ジャックウエルチとのエピソード。曰く、

「ウエルチは『以前お前にあってから今まで何を新しく知ったのか?何が新しく起こったのか?次のトレンドは?』にしか興味がない。だから私も必死になって新しい話をする。もし以前と同じ話をしたら進歩していないと思われる」

何だかなあ、「先輩、今週こんな面白い話がありましたぜ。次、これ来ますねえ。え、その話って先週しましたっけ?あ、忘れてましたよ」という感じがする。実はこの部分は「現代の教養」についての章で出ている話なんですが、これが教養だとすれば、エグゼクティブというのは人として薄っぺらくなったもんだ、と思いますね。これは単にビジネスのネタを話している営業トークに過ぎない。もとより、エグゼクティブと言われる人が教養を持っていたか、というところから疑問を持つべきですがね。もし大前さんが世界に冠たる知性なら、「お前には教養が無いよな。駄目だよ」くらいな事は言ってもらわないと。若しくは、「世界の潮流が古典的な教養を無視している。よし、僕はユニークにその流れを無視しよう」と行くとか。

結局、彼の思想というのは徹底して「損得」になっているということですね。いや、それ自体は「経済を中心に書く」と宣言している以上正しいのでしょう。ただ、その中で自身の趣味である音楽まで、何だか否定的に書いているのはうら悲しい気分になりました。この本自体、要は「ビジネスで役立つノウハウ集」という感じなんですね。正に彼が言っている「勝ち馬に乗る」「一方向にどっと行く」やり方。

また、かなり間違った部分もあります。例えば「アメリカは食品を食べる時に自己責任で扱うので賞味期限などない。彼らは徹底して「At your own risk」だ」と言っていますが、んじゃああれだけつまらん(と思える)PL訴訟が起きるのは何でしょうね?また、「ドイツではトルコ人を移民として受け入れ温かく迎え入れた。だから今はグローバル化が上手く言っている」と言っていますが、まさかその後の失業率増加に対するトルコ系住民への反発や摩擦を知らないわけじゃないでしょう。原発については、そんなに単純に、「放射性廃棄物の処理をやってもある時点から火力発電より安くなる」と言って良いんですか?「処理」という言葉は実態の廃棄物取り扱いとはかなり違う事は分かっているはずで、無毒化などできない「トイレのないマンション」状態は変わっていない。

で、文句ばっかり言っていると何なんで、これから「んじゃあ自分はどうするよ?」を考えている最中。一ヶ月くらいしたら少しは「だからこれ始めました」を言えるように今は思索の時間。

待て、次回!
←誰がよ?

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