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2011年2月 4日 (金)

「やっさん」とは最高の敬称:「Disturbing the Peace」(Alcatrazz)

どうにもこうにもLight Bringer祭りが延々継続中なわけですが、今回の「Burned 07」に入っているなかで、オールドファンが一番興味を持つのは当然のことながらAlcatrazzなわけです。で、普通AlcatrazzというのはYngwie”貴族、若しくは伯爵”Malmsteen(笑)が世に出た1stが有名かつ名盤なわけです。以前も少し触れましたが、「泣くがいい、声を上げてなくがいい」という伊藤政則の一番有名な文句はこのアルバムなわけです。

ところがそこはプログレ色の強いLight Bringer、そっちではなくSteve Vai加入のセカンドからカバーを持ってきたわけです。

今日の御題はこれなわけですな。

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Yngwieの印象が強く、音楽的イニシアティブも彼が持っていたのは事実ですが、基本はGraham”やっさん”Bonnetのグループなわけです。もうGrahamといえばやっさん、メタルファンが彼を「やっさん」と呼ぶときは、少しの笑いと圧倒的なVoへの尊敬が入る瞬間です(ほんとか?)。

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本人はメタルを全然聴かないらしいんですが、まああの声ですからメタル以外何歌うの?という感じ。で、Rainbow脱退からAlcatrazzを結成、その二枚目がこのアルバムなわけです。

「北欧の貴公子」と言われたYngwieの圧倒的な様式美音楽と水晶の如き音を持った早弾きから、いきなりドレッドヘアーに元フランクザッパバンドという余りに背景の違うSteve Vaiへギタリストが変わったため、「ど、どうなるんだ?」というのが当時の反応。いや、私もそうでした。

が、このアルバムは名盤と言っていいと思いますよ。

まず、1stから圧倒的に音が良くなった。特にDrのショボさが1stの最大の欠点だったんですが、それは相当改善されたと思います。いや、今聴くとイマイチかも知れないんですが、当時はこれでも「おお!」っとなりましたね。それでもSteveはEddie Krammerのプロデュースに納得はしていなかったらしいですけど。

いきなり最初の「God Blessed Video」から、半拍ずれのディレイ技をバッキングに持ってきているわけです。しかもずっとバッキングがライトハンドになっている。もう少し言えば、あれはサビ前のブリッジのライトハンドのところで微妙に一弦開放を鳴らすという高度な技を使ってるんですね。このタッピングはやってみたなあ。今回Light Bringer聴いてやりましたけど結構覚えてましたな。で、その後、ズンズンミディアム系の「Mercy」が来るんですが、ギターは変態ラインです。いや、そんなにすっ飛んだ感じでもないんですが、拍の入れ方が普通のロックじゃない。その次は「小粋」とでも言いたい「Will You Be Home Tonight」。このイントロのGrahamのVo、ちょっと低めで中々魅力的。彼は本当はこんな音楽をやりたかったんだろうな。そのあとは明るい曲調なんだけど少しひねった「Wire and Wood」、ずんと重めである種荘厳な「Desert Diamond」と続きます。この辺はSteveの独壇場ですが、やっさんGrahamがやっぱり凄いなあ。

昔で言う所のB面に移るといきなりアップテンポの「Stripper」に。この曲でSteveが両手タッピングを披露しているんですが、実はKeyに重なってイマイチ音列がわからない。で、四拍子なのに少しずらすやり方なんかもYngwie時代には無かったやり方ですね。さらに、当時持っていたミニギターを使った「Painted Lover」、タッピングのギターソロになる「Lighter shade of Green」と続き、ギターソロ前の転調がドラマチックな「Sons and Lovers」、一番ストレートで普遍的なHRである「Skyfire」と続きます。このソロはカッコいいなあ。そして最後にやはりずしんと来る「Breaking the Heart of the City」で終わります。

今聴くと、そんなにプログレやザッパの色が出てるわけでもなく、Steveのギターも変なところはあっても変態全開というところまでは行っていません。で、Yngwie時代とは全く違った哀愁度の低い楽曲(当時のLAメタルの影響もあったと思う)もあって、当時は賛否両論ありましたが、やっさんGrahamの歌のよさと意外なほど相性のいいSteveの楽曲によって、かなり重要なアルバムになっていると思います。何故この「God Blessed Video」をLight Bringerがカバーしたかはわかりませんが、今でもいい曲だと思います。さすがのFuki様もこのやっさんGrahamの色は出せないし(出そうとしていなかったとは思いますが)。

ということで、機会があれば是非聴いて欲しいアルバムですねえ。これがその「Skyfire」のライブです。

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コメント

さ〜すがに深く聴いて弾いて書いてますなぁ。この辺リアルでギター弾きながら聴いてた人種は一味違いますね。尊敬です。

そしてやっさん、っすか(笑)。
マル暴の意味なのか横山さんなのか、はたまた両方なのか真相は如何に!?

投稿: フレ | 2011年2月 4日 (金) 23時45分

特派員さん、めっちゃ真剣に聴いておられたんですね。
ウチは、ハナからコピーなんて思いも寄りませんです。
やっぱあのライヴ映像と共に楽しみたい作品ですよね。

で、横レス失礼。
フレさん、これ関西人の基本ですわ。(しかも40代限定?)
当然横山やっさん以外におまへん。(笑)

投稿: elmar35 | 2011年2月 5日 (土) 09時45分

フレさん、

いや、フレさんが「深く」と思っているほどじゃないですよ。ただ、確かにリアルタイムでの経験は少し効いているかも知れません。で、横レスの方の指摘の通りです、関西だとその辺は常識ですな(にやり)。

投稿: ドイツ特派員 | 2011年2月 5日 (土) 21時46分

elmar35さん、

確かにこの頃のアルバムでは良く聴いた方だと思います。コピーというのは「God Blessed Video」のタッピング限定ですから大したことはないです。

横レス有難う御座いました。でも「やっさん」と言われてもかっこよかったんですけどね、あの白いスーツにグラサンオールバック。

投稿: ドイツ特派員 | 2011年2月 5日 (土) 21時48分

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