ギターの可能性:Tim Donahue&伊谷希ライブ
で、
Pure Rock Japanという我が愛する女神Fuki様がメイン(嘘)のイベントに何故参加しなかったのか?というと、同じ日にタイトルにあるギターデュオのライブがあったからです。伊谷さんというのは、ずっとドイツで活動していて、10年前くらいに帰国、そのまま日本で活動しているギタリストです。いや、実は伊谷希さんというのはひょんなことから私の知り合いでして、ずーーーーーっとライブにいけず不義理していたんですね。まあライブなど義理で行くことでもないんですが、実際に素晴らしいギターミュージックをやっているわけで、行けないのが残念でした。ところが今回は、自信のバンドではなく、Tim Donahueとのデュオという話。
行くしかないよね!
ということで行ってきました。
私がTim Donahueを知ったのは確か今から20年くらい前のヤングギターのインタビューだったと思います。ハープギターという何か訳のわからないものでえらく複雑なことをやっている、ということで、とにかくCDだ!となり購入したのが「Still Dreamin'」というファーストアルバム。これが中々凄いソロアルバムで、とにかく何かすげー!ということでした。その流れで買ったのがセカンドの「Voices in the Wind」。何曲かでPaul RogersがVoを取っているんですが、Timのギターも特にハープギター云々というよりは完全なロックアルバム。ただ、フレットレス特有の音は垣間見ることが出来ましたが。ちなみに静岡県在住で、日本語ぺらぺら。デイブスペクターみたいなダジャレをいうのもお茶目。
で、暫く遠ざかっていたんですが、「え、伊谷さん知り合いなんだ?」ということに相成り当日。形式は完全なギターのみのデュオで打ち込みも何もなし。まあプロだから当たり前ですが、上半身裸で出て行くようなもんで、貧相な体だと
恥ずかしくて出られない、みたいな構成ですなあ。
和やかに見える(というか、ぐだぐだなトーク)風景ですが、やっている当人達の音楽は拡張が凄い。伊谷さん曰く「とにかく打ち合わせにないことやり始めるから大変」ということですが、まあそこはプロ中のプロですな。
クラシックギターやっているときにデュオとやったことはありますが(グラナドスの「コルドバ」とかやってたな)、あれは決まった楽譜弾くからまだいい。この二人はとりあえずチックコリアなどのスタンダードをベースとして選んでいるものの、そこからは無制限勝負。聞いているこちらは心地よく聞いていますが、やっている方は大変ですねえ。
ハープギターは今回フレッテッドになっていました。生の演奏は初めてでしたが、写真の上に張っているハープ部分も彼は弾きます。ところがチューニングを変えているわけじゃなくて、夫々のキーにあった音を「間を埋めるように(Tim談)」弾くということ。ちょっと思ったのはブルーグラスで開放弦を入れながらフレーズを上下させる奴ですが、あれの異常に複雑になったことや、当然バッキング的に鳴らす、など自由自在。対して伊谷さんはLPカスタムで同じように対抗。それこそ「素手と自衛隊くらいの喧嘩」と仰ってましたが、やはりミュージシャンシップはそういう仕掛けを超えて対等なんですねえ。
音楽的にはジャズスタンダードを基にしたセッション。ですが、ベースもドラムも無い中でお互いがドラムになりベースになり、という融通無碍。ハープギターはかなり低音が出るんで、ベースも刻んでいる感じですが、その上でタッピングのみでメロディーが出てきたりバッキングになったり。確かにスティックに感覚的には近いでしょうか。それにしてもメロディーを出すために必然のテクから出る音楽の素晴らしさ。本当に美しくてスリリング。伊谷さんとTimのギターが喧嘩したり握手したりの応酬ですなあ。これはやってるほうは疲れますよね。
今回は久々にギターだけを満喫することが出来ましたが、自分で感じたのは、「やっぱりギターの音が好きなんだ」ということ。例えばチックコリアがどれだけ素晴らしいと言われても、あのピアノやキーボードでは私は聴けないんです。正直ジャズはどう聞いても面白いと思えない。ですが、それがギターなら全然OKどころか、もうちょっと聴きたい、となるんですね。
あと、まだまだギターには可能性があるな、ということ。ハープギターをギターとしてみるのかどうか、はあまりにその構造が違うので異論があるかもしれません。が、弦が張ってあってそれを音にして出す、というのは明らかにギター。更にエレクトリックで完全デュオでこれだけ凄い音楽が出るんだから、まだまだ色んな音楽が出てくると思う。
ギター音楽に興味ある人は一度体験して損はないです。それにしてもこんなギターを弾いている人が日本にいるとは、これまた恐るべしだと思います。
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コメント
トークがグダグダで失礼いたしました。いつものことなんで諦めていますが・・・
投稿: ITANI | 2011年5月31日 (火) 22時05分
ITANIさん、
いや、トークを聞きに行ったわけじゃないんで、その点はグダグダも演奏とのギャップでよかったんじゃないでしょうか。というのは余り慰めでもないでしょうが(笑)。キムチっていうのは、ねえ。
投稿: ドイツ特派員 | 2011年6月 2日 (木) 21時09分