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2014年4月23日 (水)

怪物、目覚める:「Re:generation」(Mahatma)

ここ数年で、私の音楽嗜好も相当変化というか広がったところがあるな、と感じています。基本的にテクニカル系が好きなのは余り変わっていないんですが、その中でも所謂インディーズというところから出てきた日本のバンドにかなり入れ込んでいるわけで。

で、その中でも本当に「プログレッシブ」「ミクスチャー」というのを体現していると思っているバンド、Mahatmaですが、今までは何かミニアルバムを小出しにしていて、勿体無いやり方だな、と思っていたのですが、ついに今回フルアルバムのリリースとなりました。

群馬の怪物、遂に覚醒。。。。。

もうね、凄まじい演奏の嵐です。というと、何か凄くハードな音楽を連想するかも知れませんし、事実ハードな曲も多いんですが、そこじゃないんですよね。色んな要素、それこそロックだのラテンだのジャズだのがバーンと入っていて、それがバラバラじゃなくて「Mahatmaの音楽」として消化・昇華されているんですよね。形式ではない「プログレッシブさ」というのはこの部分で、確かに変拍子もあればインタープレーもあるんですが、あくまで歌を中心にした音楽。
全曲紹介行くかw。半分は過去曲、そのうち数曲は再録やリミックスです。
M1「Overture for Tiger's eye」から新曲M2「Tiger's eye」。メタルの様なリフから入りますが、曲は全然メタルじゃない。いきなりインタープレイ炸裂なんですが、Nanaのヴォーカルがちゃんと中心にあるんだよな。それにしても後半の倍速、震えるほどカッコいいや。

M3「アナタノメイニチ」は再録。まあそれにしてもHidekiのドラム、叩きまくっているのにうるさくないと思うのは私の好みのせいかな?上にのるメロディーは割と普遍的なものだけど、それを邪魔してないと思う。Nanaのヴォーカルはどっしりと安定しているわけでないけど、力強くなったと思う、もっともっと良くなると思うけど。

M4「Moon & Dance」前回参加の両国ライブで披露された新曲。一言、「おしゃれ」な曲です。こういう曲がさらっと出てくるところに音楽の懐の広さを感じます。でもちゃんと楽器の戦いもあるわけで、ここに歪んだ低音リフが入ったりするわけで。こういう曲のNanaの声、凄くあってるなあと。

M5「Passion」は今回のためのスペシャルセッションバージョン、で、LIGHT BRINGERのHibikiがBですが、彼が主役になってないんだよな。ちゃんと主役が「Mahatmaの音楽」になっているわけで、そこが強固な音楽基盤なんでしょうね。しかしラテンビートをこう乗せるか?しかもカッコいいじゃないかい、このTsubasaのGソロの切れたるやね♪。

M6「エガクミライ」はRieko作のピアノとヴォーカルのバラード。アルバムの良いアクセントだなあ、と思います。この曲もそうなんですけど、Mahatmaの音楽って凄く「前向き」な印象なんですよね。シリアスなんだけど、眉間にシワを寄せる感じはないんです。

M7「Overture for Revival」からM8「Revival」、これも結構なスピードナンバーなんですけど、それ以上にポジティブなメロディが浮き上がってきます。で、バックが凄い凄いっていってますけど、実は派手な分かりやすい凄さでのソロとかは結構少ないんですね。でもこの曲のTsubasaのソロなんて、音数だけなら大した事無くてもやっぱり只者じゃない音なんですね。

M9は「Dream」、これはこちらのレビューを参考にしてもらえれば。この曲はやっぱりキラーチューンになるのかな?良い曲だと思うし、特典のライブ音源も見ましたが、やっぱりライブでも映える曲だなあ、と。それにしてもイントロのマシンガンフレーズ、謎w。

M10は新曲「Step by step」、何だろう、この曲もちょっとこれという表現が見つからない曲。こういうコード進行が大好きなんですが、Mahatmaの音楽、としか言い様がない曲。バックは相変わらずやりたい放題って感じですけど、それが曲の要素として組み込まれているんですなあ。アコギのソロが秀逸!

M11「久遠桜」はもうHideki独壇場の「泣きのドラム」。ほんと、ここまで叩けたらそりゃ楽しいでしょ?っていうくらい呆れるまでの叩きまくり、勿論褒め言葉です♪

で、

個人的なこのアルバムのハイライトがインストのM12「ジ・ハード」。いやもうね、
口アングリ
ってこのこと。大体Tsubasa本人も言ってますが、偶数拍が全く無いという暴挙、その上で各楽器隊がソロパートで暴れる暴れる。この曲もそうですが、何しろストレートな8ビートとかがないんですよね、で、それがまた気持ち良いピースになっている凄さ。その上に正にインタープレイの応酬って奴で問答無用にカッコいいです!

最後に少しメロウなイントロから哀愁のあるM13「希望の光」。この曲が比較的あっさり感じるくらいの高密度ってことなんですな。でもこれも凄く良い曲です。

それにしても全13曲、あっさりしたところはありません。全てに濃度が高い音楽です。でも芯は楽器技術の見せびらかしじゃないです。「Mahatmaの音楽」の追求じゃないかな?だから一聴よりも好き嫌いが分かれるかも知れない。Nanaのヴォーカルももしかしたら好みに合わない、という人が出るのは分かる気がする。だとしても、これだけ高密度・高濃度・高品質な音楽を日本の若いバンドが作っている、というのが本当に凄いと思うんです。

このアルバムを出してKeyのRiekoが脱退しました。最後にライブはやって欲しかったという気持ちはありますが、アルバム発表後に脱退、というのは一年前から決めていたそうです。何かそういうところも脱退というあまり嬉しくないことの中に「ポジティブ」な感情が出ていると勝手に感じています。
一度聴いてみて欲しいですね。ということで、M2「Tiger's eye」のPVです。

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