広がり：Scrambled Soul Circusライブ＠吉祥寺Crescendo

さて、自分のライブが翌日にあるにも関わらず、息子が大学入試を控えているにも関わらず、のこのこライブなんぞに行っているのは何故か？

ということで、我が愛するコンポーザーでギタリストKazuのプロジェクトであるScrambled Soul Circus(SSC)のライブに行って参りました。四バンド形式で何と音源も無いのにトリ、という順番ですね。

今回、KeyのReanneが脱退（というか、このバンドは脱退という概念は無いみたいですが）ということで、どういう音になるのか、と思ったんですが、同期音源でのライブ。まあ考えればDTMで作曲してるわけでしょうから、そのままその音源は使えるわけで。ただ、ツインギターだからそれに置き換えた本当の「生」な音も体験したいな、という思いもあります。

公式に出されている音源はYouTubeの「Wind!!」しかない中、その「Wind!!」とArt of Gradationのカバーである「Our Song」以外は全て新曲でした。また今回、LIGHT BRINGER時代からの盟友ドラム、Satoruが叩くというのもお楽しみでしたね。で、ライブ開始。一曲目から新曲で来ました。

おおおおおおお、いいじゃないかい！！！

まあ私がこう書くと、「またかよ？」って言われるかもしれませんが、良いと思うしかない曲だから仕方が無い。言っておくと「メタル」という範疇からはかなり離れています。ライブだから音量やエッジがある分そういう要素はありますし、何しろバックは異常にテクニカルなんですが、そこが一番に出てこない。とにもかくにもボーカルとそれを支える楽曲ありき。当たり前といえば当たり前なんですけど、メタルの場合意外とプレイを拡大した曲、というのもあるんで、その意味ではそこからは大きく外れてます、良い意味で。

曲名は「Shiny」とか「Humming」、「Dream state」というのがありました。あれ、全部で何曲？7曲くらいはやったと思います。こんな状態なんで記憶しているよりその場で楽しんでいるわけですが、とにかく判りやすく幹を作り、それだけで終わらせない仕掛けを入れる、というのが素晴らしい。Kazuの曲はサビでカウンターメロというか、裏で降りてくるフレーズが凄く美味しいんですが、今回もそういうのが印象を強くしています。

もうちょっと言うと、彼自身、今までの彼らしい曲作りを残しつつ、更に広い方向での曲を出して来ているな、と感じました。例えばコード進行でも、今までなら「ここ、泣かすよね」というところをスラリと流しておいて、裏でその哀愁を出すとか。やっぱりタダモノじゃねえや。

演奏陣はもうプロですよね。Satoruは相変わらずのシャープで少し重めのドラム、あれだけ小柄で七三分けみたいな謎の髪型なのにｗ、何であれだけパワフルに叩けるのか、ドラムが体格ではなくタイミングの楽器、というのがよく判る。あと、やっぱりSeiyaは巧いなあ。YammyもといYouskeのベースも適度に暴れて素晴らしい。

ただ、このバンドの出音の核はやはりVoのHaruka。Kazuの曲とのマッチングがもう最高だと思います。単純な声じゃないんですよね、彼女。毒もあり、可愛さもある複数の要素がある声。力が抜けているようで力強かったりという反対のものが共存するのが、メタル成分薄めのKazuの曲にはあっているんじゃないかな、と思いますね。

一番嬉しいのは、このSSCの空気。とにかく楽しそうなんだよな。ライブなんで、そこの空気も一緒に味わうわけじゃないですか、観客は。そうするとそこで良い空気があれば自然にこちらも気持ちがいい。いや、あのままのMCでいいとは思わないくらいグダグダですけどｗ、色々な過去を知っている私の思い入れも許してもらえれば、とにかく若いミュージシャンが幸せな中で良い音楽を出して欲しいって思います。Reanneの脱退も、あくまでしばらく離れるということで、協力関係は続けて欲しいな、と思っていますし、そういう形をメンバーも望んでるんじゃないか、と勝手に考えています。

どうも音源を出すという素晴らしい悪巧みをしているようで、ほんと、楽しみでしかない。待つぜ！！！