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2015年5月23日 (土)

焦点:「Scrambled Colors」(Scrambled Soul Circus)

昨年来、幾つかのバンドメンバーと共にライブ活動をしてきたScrambled Soul Circus、ここでやっとCDを出しました!

(購入はこちらのサイトから限定です)
うー、待ち遠しかったですね。
Img_0632
とにかく「直接リスナーと繋がりたい」ということでの直接送付でした。何か気持ちはわかるな。メンバーは
Kazu:G&Vo
Haruka:Vo
Seiya:G
Youske:B
Satoru:Dr

です。Reanneは直前に脱退のまま、Keyは入れてませんね。

ま、その気持ちは別にして、聴いていきたいと思います。

オープニングのM1「Scrambled Soul Orchestra」からM2「旅立ちの唄」へ。

音、軽い!!!

君たち、曲がりなりにもメタルバンドやってる(やってた)んじゃないの?どうしたの?ってくらい軽い。ギターの刻みも凄く薄いというか、すっきりさせてる。これはもうハードロックやメタルじゃないですね。ストリング系なんてもうアニメの主題歌状態。ストレートもストレート。でもねえ、サビに来ると正にKazu節なんだよなあ。マジに子供に受けそうというか。

結構あっけに取られてるうちにM3「”Shiny」へ。いきなりKazuの軽い歌から入るこの曲も、どう聴いてもメタルの範疇ではない。それにしてもこの曲でも、どうやったらこういうメロが出てくるのか?正直これをもっとハードなバックで聴いてみたいとも思いますが、多分狙いは広い音楽層というか、マニアではない所に訴えたいんだと想像します。ただ、ベースが動き回るのが効いてるんですよね。

M4「Wind!」は以前MVで既に発表されている曲ですが、今回はスタジオバージョンですね。いやあ良い曲だわ。この辺のテクニカルさと覚えやすさのバランスが好きですね。しかし此処もYouskeのうねるベースが効いてるわ。こういうの、大好きですね。

此処でちょっとHarukaのボーカルについて。


今回のアルバムを聴いて、意外なほどその声の「濃さ」を感じています。「太い」とかじゃなくて「濃い」。一つは今までより低い音域で歌っているからかな?とも思いますが、超絶なシャウトや高音が無い分、声の密度に集中した感じ。また、多分こういう歌い方が好きなのか、物凄く自然さが目立ちます。歌詞も単語の切れ目、歌との整合性もしっかりしているな、と。全く不自然な詰め込みが無いんですね。ただ、この歌詞自体はかなり好き嫌いが別れると思います。歌詞にしてはストレートな単語、かつてJ-Popで多用したようなモノが多いから、少し恥ずかしさというか、そういう感覚を持つところがあります。

M5「Hide myself」は一転して陰影のある曲調。いやあこれは良いわ。元々Kazuの作る曲っていうのはメジャー展開を感じさせる曲に特色があって、自分自身もそこに好みのツボがあると思っているから、この曲への自分の感覚は意外です。要はそれだけ彼の作曲が広がっているんだと思います。マイナーでそれまでの曲よりエッジが効いているんでそこも私の好みです。この曲はコード進行よりも、歌とリズムの嵌り具合がいいんだと思います。サビもそんなに大きな感じじゃないんですが、何故か染みる。


M6「オリオンの夜」はアコースティックナンバー。とはいえ、何度も書いているようにメタルバンドのバラードじゃないです。もう普通のポップスと思って良いくらいのアコースティック。Harukaのボーカルはこういう曲で本領発揮という感じですね。

M7「Re:START」もM5に近い曲調ですが、もっと攻撃的ですね。とにかくKazuの曲のサビというのがいつも「どうしてこう印象的にできる?」というものなんですが、そこにこの曲はYouskeのクリシェで下がるベースが絡み付いて印象三割増。多分今までのKazuならもっと明るくしてたと思うんですよね。そこを押さえてあえてマイナー調を維持したままこれだけ覚えやすく美しい曲にするのは凄いな。あと、途中のボイス処理が偉くカッコいいんだよな。


軽い軽いと言ってますが、実際には演奏側はかなりえぐいことやってます。打ち込みだろうシンセも相当音数が入ってますし、ベースは言わずもがな、ドラムのSatoruは小技でちょこちょこ変なことやってるし。KazuとSeiyaの鉄壁コンビはソロでは音数少なめながら、ここ、という所ではしっかり決めてくる。何しろみんな実力があるからその押し引きが効果的なんだよな。


M8「Shade"」は恐らくM3と対を成す曲。ピアノをバックにHarukaとKazuが切々と歌うバラードナンバー。この曲の歌詞なんかは好き嫌いがバックリ分かれると思う。私のような初老にはちと気恥ずかしさが先に立つw。それにしても美しいメロとちょこっと出るリズムの遊び。軽くでは出来ない曲だと思う。


M9「ハミング♪」はもうね、何というか「NHK歌のアルバム」ですよ、歌のおにいさん・おねえさんですよ、これ。流石に最後に「ルンルンハミング♪」って歌詞が出た時は噴き出しましたですよw。かげりとか一切ありませんし、途中のクラップなんて正に「さあ、一緒に手を叩きましょう♪」状態。この曲調を堂々とやる連中、恐るべし(苦笑)。その中でSatoruがちょこっと出すドラムロールがカッコいいんだけどね。


とにかく、音の軽さに戸惑いも覚えつつも、以前以上の極上メロディセンスを楽しみながら最後のM10「Dream State~親愛なる仲間達へ~」に。

うわ、最後にこのキラーチューンかよ。。。。。


一番シンプルな曲なのかもしれない、バラードタイプの曲でもない。でもこの曲全体の空気がとにかく素晴らしすぎる。美しいというか、はかないというか、このアルバムの最後に相応しい雄大さも感じる。歌詞が、とか、メロが、じゃなくて、曲全体がこちらに入ってくるんですよね。

多分、焦点を絞ったんだと思うんですよ。かつてやっていた・現在やっているバンドと全く違う形で、全く違うリスナーに広げたいということ。ただ、まずは今までのそれぞれのバンドのファンからになるのは致し方ない。それがあるから、敢えて直販という形を取ってかつてのバンドのファンに敬意を表したんだろうと思います。ただ、それが思いだとして、意外に「癖のない癖」というか、そういう特殊な部分も持ち合わせているのも事実。この辺のバランスを今後どうするのか、あとはプロジェクトで行くのか、バンドとして更に固めるのか、その辺もありますよね。


とにかく、美しい曲が入ったアルバムです。私自身は前半が軽すぎるな、というのはあるんですが、それとても曲の水準は物凄く高いというか、良く練られたモノだと思います。例えば歌詞だったり、Kazuの歌い方だったり、メタルファンから見た音だったり、頓着のないHarukaの写真映りだったりw(いや、実物は全然違ってキュートだから)、賛否分かれる所はあると思いますが、それも「善悪」ではなく「好み」の世界ですからね。


とにかく、彼らの思い、やりたい音楽は凄くよく判るし、私自身、驚くほどずっと聴いています。メロディーの豊かさ、Harukaの歌のフィット具合、音の構成、メタルではないにしても、本当に高水準だと私は思っています。


とにかく一人でも多く手にとって聴いて欲しい、と思います。

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