正に救世主:「Endless Nightmare」(Thousand Eyes)
二年前、驚愕のデビューアルバムでシーンに出てきたThousand Eyes、ここに来て遂にセカンドアルバム、「Endless Nightmare」を出してきました。
最初のプレスはあっという間に売り切れたようです。
この界隈の人脈って、色々狭くて近くを通ったり交わっていたりという感じですね。このバンドでも現ドラムはUnlucky Morpheusで叩いてるし、ギターはTears of Tragedyだし、まあ色々と繋がっているわけですね。
演奏については色んなところでやっている連中ですし、何の不安もありません。で、感想は、
強烈
強烈
の一言。この「強烈」には色んなものが対象に入るんですが、とにかくメロディーの奔流とその上に乗るボーカルDougenのデスラッシュボイスが半端ない迫力。ボトムのリズム隊もそりゃ音入れまくりで隙無し、アルバム全体を鞭で引っぱたいているかの感じですね。
シーンに出てきた衝撃という意味では、前作のほうが大きいですが、今回のセカンドはそのファーストのブルータルさや強烈な泣きの「純度」とでも言うものを更に上げてきました。で、リズム隊、特にドラムがある意味打ち込み的な正確さで来るからか、ある種の「冷たさ」を感じるところもあります。これは決して否定的なものではなく、このバンドの「熱さ」「哀感」に加わる強烈な個性だと思っています。
正直曲調に大きな変化はありません。このフォーマットでそれほど振れ幅の大きなことは出来ないでしょうし、それはそれで正解だと思います。その中でもM10「Dark Slayer's Requiem」などは少しリズムに(ドラムに、ではなく)変化をもたせた曲かと思います。あとM5「Dead Sorrow of Me」はとっつきやすさをもった異色曲と言ってもいいかと思います。
言ってしまえば全てがキラーチューンで、いちいち曲の解説なんぞ必要ないと思うんですが、個人的にはM9「Damnation Calling」からラストM12「One Thousand Eyes」までが悶絶の流れ。特にM9のギターソロの切り込み、M12最後のギターバトル、あそこはフェードアウトでもいいんじゃないかというくらいの熱さ。
好みで言えば、ここまで無機質に感じるドラムは少しどうなのかな?とは思います。ほんと、そこくらいが疑問点だし、それも上に書いたようにあくまで好みで、このバンドの空気の一部を作っている要素でもありますから。
元々私はこういうデスメタル系にはとんと疎い。だからというわけじゃないんですが、割と白紙で聴けるんじゃないか、と思うんです。比較ではなくて、これ聴いたらフォーマット云々ではなくて、メタルアルバムとしてとにかく素晴らしいと思う。攻撃性、慟哭、そういうものを求めているのであればこのアルバムは最高に楽しめると思います。まごうことなき傑作だと思います。
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