端境の時期だったのかも:「Big Bang」(Planet Earth)
ずっと気になっていて、ふと調べてみると、意外に手頃な価格になっていたんですね。で、久々にこのカテゴリーは、正にジャパメタなこれです。
まだ廃盤状態なんですが、この前まあ普通な価格で手に入れる事ができました。以前は8000円とか付いてたこともあります(リンクに行くとジャケットも分かります)。
発表は93年、メンバーは
Vo:吉越由美
G:清水保光
B:宮本泰久
Dr:前田卓生
Key:高梨泰治
で、この中ではGの元Hellenの清水、Drの元Dancerの前田がそれなりに当時は知られたメンバーだったんじゃないかな?
SEのM1「Big Bang」から、当時の王道リフからこれまた王道なメタルナンバー「War Machine」へ。とはいっても、メタルなのはギターとドラム、メロは歌謡曲っぽいし、音もそんなに厚くないです。で、この吉越のVoは上手い。何というか、ドスが効いているけど癖がないというか、歌い方が素直なんだろうな。まあこの曲がこのアルバムの最高のキラーチューンなんですが、清水のギターソロが手癖に任せたようにも聴こえる詰め込みっぷり。何処まで本人がしっかり意識して弾いているかはよく判りませんが、これはこれでカッコいいですね。
M3「君を愛してしまった」も王道系で、マイナー調なのでハードに聴こえます。で、まあ歌詞はちょっと恥ずかしいというか、バブルの残像があるんですね。で、このアルバムの作詞作曲は笹路正徳が関わってます。多分骨格はバンドであって、彼がアレンジャー的に手を加えたんだろうな、と。コーラスとか。
M4「Dear My Friend」は、当時流行った少しハード寄りな歌謡曲ですね。一番ヒットチャート的な音楽と言ってもいいかな?あざといくらい売れ線っちゃあ売れ線。ギターソロもメロディアスでとても良いなと。ソロ後にちょっとコードを動かす所なんかは笹路のアレンジだろうな。
M5「P・O・N・Y」はシャッフルに乗せたパーティーソング。ある意味歌詞に殆ど意味はない所もパーティー的(笑)。でも当時はこういうのが普通だったんですよ。今聴くとさすがに正視できない感じですけどね。
M6「たった独りで」も、ある意味捻りのないストレートなハードポップ。初めて聴いてもメロディーが浮かぶ流れってあるじゃないですか?そういう流れで吉越のドスの効いた部分と少しそれを押さえた対比が良いですねえ。ギターソロはもう指に聞いてくれ!っていう弾き方だな、今の人がどう思うか分からないですけど、それはそれで嵌ってるんだよな。
M7「Boogie Boy」もノリを重視したナンバー。単純な繰り返しがライブなんかだと映えるんじゃないかな?単音のギターリフと、その後に珍しく(といっちゃ失礼だが)リズムに乗せたギターソロがいい流れです。
M8「Hold me now」は、こういうバンドでは割と少ないかもしれない、ドマイナー調のバラード。ちょっとブルースっぽい感じもあります。情念系で歌うんですけど、そこで癖の無さがちょっと独特な空気ですね。
M9「あたしらしく 女らしく」もマイナー調ですが、ミドルテンポで裏で鳴るキーボードがアクセント。全体にバックは抑え目なんで、ボーカルを中心にしているのが実は珍しいんですよね。この頃のジャパメタはバックが大きいのが主流でしたから。その辺りも歌謡曲に近づけてるんでしょうね。こういうタイトルが普通だったんですよねえ(苦笑)。
M10「Never stop Rock'n'Roll」できらきらキーボードのイントロ、これが当時の代表的な音の一つかもしれません。この曲のサビでの吉越のボーカルは力を入れてアクセントにしてますね。ギターソロはM2に並んで詰め込みまくりですが、このバンドではソロ以外はバッキングに徹しているんですよね。
最後はM11「It's My Soul」、メジャーブルースで締めくくってますが、声がブルースじゃないんだよなあ。これ、全然否定的な意味じゃなくて、そこでちょっと普通じゃない感じが個性だな、ということなんですよね。
水準が高い楽曲と演奏だと思いますよ。当時はまだレコーディングの処理はそれほどやってなくて、演奏自体がかなり直接音源に反映されていたはず。ボーカルの上手さ、バックの安定感、キャッチーな曲、凄くいいアルバムだな、と。
水準が高い楽曲と演奏だと思いますよ。当時はまだレコーディングの処理はそれほどやってなくて、演奏自体がかなり直接音源に反映されていたはず。ボーカルの上手さ、バックの安定感、キャッチーな曲、凄くいいアルバムだな、と。
じゃあなんでこれほど知られていないのか?というと、一つは時代の狭間だったのかな?と。バブルが終わって急速な不景気でプロモーションも充分ではなかったと思います。で、じゃあこのバンドのターゲットは?って言われると確かに難しいところがあって、歌謡曲にはアクが強すぎ、メタル好きには軽すぎる。ギターの弾きまくりももしかすると「うるさい!」という評価だったのかも。これから2-3年経つとそういうハードなバックが新しくなるんですけどね。
でも、このまま埋もれるにはちょっと勿体無い音楽、楽曲だと思います。もし興味があれば、新品のCD代くらいで手に入るので是非。以下、このアルバムの一番のチューンである「War Machine」です♪
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